今回ご紹介するのは週刊少年サンデーで好評連載中の「帝乃三姉妹は案外チョロい」です。

文武芸すべてを備えた天才女優・綾世昴の息子・綾世優は、母とは違い全てが凡人以下。才能の差を痛感する生活の中、母が亡くなり知人の家に預けられることに。その家には、名門・才華学園で「三帝」と呼ばれ君臨する帝乃三姉妹がいた。「幸せな家族を作って」という母の遺言を叶えるべく、優は天才三姉妹と同居生活をはじめるが…!?  一つ屋根の下で送る、天才凡才下剋上ホームラブコメディー!!

週刊少年サンデー公式サイトより

主要登場人物

綾世 優
亡き母は有名な天才女優・綾世 昴。母の知人である帝乃家に引き取られる。母とは違い、基本的に顔以外はすべてが凡人以下でポンコツ。でも、めげない性格。
一輝(かずき)
帝乃家の長女で才華学園芸能科。若くして歌劇団のスター。圧倒的に華がある「芸」の天才。プライド激高。
二琥(にこ)
帝乃家の次女で才華学園体育科。武道系競技で数々の優勝歴を持つ「武」の天才。自分にも他人にも厳しく、真面目。
三和(みわ)
帝乃家の三女で才華学園進学科。将棋界で将来を嘱望される才能を持つ。勉学全般に秀でる「文」の天才。ちょっと、意地悪め。

週刊少年サンデー公式サイトより

https://note.com/embed/notes/na7088727f603

異世界転生モノが幅を利かす世の中になって久しい現代。チート的に強い主人公が物語の開始早々から無双する物語に慣れてしまうと、ライバルに負けて、メンターと修行して強くなってリベンジする、そんな王道の成長譚はタイパが悪いし読み進めるのが辛い。

でも、そんなんでいいのかなぁ・・・・・

本作の主人公は顔意外は全てが凡人以下でポンコツという綾世優。一方で、帝乃家の三姉妹は芸能、スポーツ、将棋で才能を発揮する天才姉妹。彼女たちも無双しまくる世界が描かれているのか?と思うが、全くそうではない。少年サンデーはあくまで王道的なストーリーを描いてくれていて、だからこそ私も安心して読めているのかもしれない。

本作が、天才三姉妹が無双して読者を気持ち良くさせるのではなく、天才ならではの悩み(トップを維持し続ける苦悩、努力をし続ける辛さ、何の為に努力するのかの迷い等々)とどう向き合い、解決していくか。そこにポンコツ優くんが並走して寄り添う姿が印象的なため、少年誌で描かれる成長譚に分類されると思う。単なる主人公無双モノでもなく、ハーレムものでもない作品の存在は有難い。

現代は、各人がそれぞれの才能をSNSはじめインターネットを介して発信しており、それをテレビが後追いして取り上げるかたちで多くの人々の目に触れるところとなっている。テレ朝で放送中の人気番組「博士ちゃん」がその最たるものかもしれない。

https://www.tv-asahi.co.jp/hakasechan/

天才が輝いた部分だけを見せられると、自分のネガティブな部分やコンプレックスにばかり目が行ってしまうこともあるかもしれないが、天才とはいえ裏側をみれば努力しかなかったりする。本作でも天才と秀才の対比”が描かれていたり、努力とは何か?といった投げかけ”をされている気分にもなるため、そういった点にこそ着目されれば良いなぁと思っていたりもします。

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