相手側の代理人(弁護士)から書類が届いた。これは家庭裁判所にも同時に送付されている。
その書類には、わたしと妻の出会いから結婚に至るまでのこと。わたしが転職を何回かしていること。その過程にあった妻視点の物語が詳細に記載されていた。そこかしこに、悪意に満ちたわたしへの攻撃が散りばめられており、読み通すだけで体力が削られる。そして同時に怒りも湧いてくる。
家では到底冷静に読めないだろうと思い、人で溢れた土曜日のコメダ珈琲店に向かった。道すがら、セブンイレブンのネットプリントで書類を出力した。もし、こんな個人情報が溢れた書類を置き忘れでもすばと思うと、恐怖で何度もプリンターの排出口を確認してしまった。何度確認しても見落としがあるのではを気になってしまう性格は、仕事で見積書の金額を入念にチェックしてしまうのと同じだ。何度確認しても間違っている気がしてしまう、病的なくらい。もういいやとエイヤで見積もりを出すと、上長にミスを指摘されて返ってくる。なんでかな。4〜5回確認してもういいやと店を出た。
コメダ珈琲は朝も早くから人で溢れている。この店内で一番不幸なのはわたしかもしれない。いや、そんなこともないか。じゃあ、どんな人ならばわたしより不幸なのだろうか。そんなことを考えながら、席が空くのを待っていた。なかなか、空かないものなのだ。
ようやっと席に案内された。わたし、これでもコメダ珈琲を運営する株式会社コメダホールディングスの株主なのだ。株主優待はコメカというプリペイドカードにチャージされる。いつものように、たっぷりコメダブレンドを注文して、トーストにバターとあんこを頼んだ。
そして、相手方の一つひとつの主張に対して反論を加えていく。
あまりに集中し過ぎてコーヒーもトーストも冷めてしまった。どうしてこんなことになってしまったのだと思う。
もう嫌だ。もうこんなことは辞めてしまいたい。離婚を認めて親権も諦め、ひとりで穏やかに暮らしていきたいと思いはじめる。
でも次の瞬間には、ここで諦めてしまえば息子に会えなくなるかもしれない。それに、相手の一方的過ぎる主張も認めることになる。どうしてこんなことになってしまったのだ。そればかり考えてしまう。
何をやっても、どちらに進んでも地獄だ。地獄しかない。
相手方の弁護士が書類にこう書いていた。
息子のためを思うなら、一刻も早く家から出ていってください。
とても事務的で、とても冷たい。大凡体温の感じられない言葉に、私の顔面は紅潮してしまう。拳を握りしめてしまう。そして、その拳をどこかに打ち付けてしまいたくなる。わたしの右手なんて壊れてしまえばいいと思う。
そうなのかもしれない。弁護士の言うとおりなのかもしれない。世間はそう考える人も少なくないだろう。
たとえ、他人には親の自己満足で子どもを傷つけていると思われても、わたしはわたしなりの愛情しか注げない。わたしなりの愛のカタチというのを示すことしかできない。息子のためになることは、一体誰が決めるのだろう。
世間とあなたの考えはズレている。しきりに周りはそう言う。いまがツラい。けれど、それを受け入れるしかない。