『新版アニマル・マシーン』
この度、ルース・ハリソンが1964年に著した記念碑的な一冊『アニマル・マシーン』が、ついに復刊されます。もしこの本が存在しなかったら、現代の動物福祉思想はこれほど深く、そして広く根付くことはなかっただろうとまで言われる、その歴史的意義は計り知れません。
本書は、当時の欧米で急速に進展していた「工場畜産」の衝撃的な実態を、徹底した調査と克明な描写で告発しました。効率化の名のもとに、動物たちが生命を持つ存在ではなく、単なる生産物、「アニマル・マシーン」として扱われる冷酷な現実を白日の下に晒したのです。狭いケージに閉じ込められ、身動きもままならない鶏、豚、そして牛。その劣悪な飼育環境と、動物たちの痛みや苦しみを直視しない人間のあり方に対し、ハリソンは痛烈な異議を唱えました。
『アニマル・マシーン』は、動物を単なる資源としてではなく、痛みや喜びを感じる生命体として捉える「動物福祉」という概念を社会に強く提示し、世界の動物保護運動に決定的な影響を与えました。ピーター・シンガーの『動物の解放』をはじめ、後の動物倫理思想の基礎を築き、イギリスの動物保護法制定にも大きな影響を与えたのです。
環境問題、食の安全、そして生命倫理が問われる現代において、動物との共生を真に考える上で、本書の問いかけは今なお色褪せることはありません。復刊される『アニマル・マシーン』は、私たちに改めて動物の尊厳と人間の責任について深く考察する機会を与え、未来への持続可能な社会を築くための必読の一冊となるでしょう。
著者紹介
Ruth Harrison/ルース・ハリソン(1920-2000)は、イギリスの動物福祉活動家、ジャーナリストです。1964年、著書『アニマル・マシーン』で集約畜産(工場式畜産)における動物たちの非人道的な飼育実態を告発。劣悪な環境で苦しむ動物の姿を世に知らしめ、社会に大きな衝撃を与えました。
この本は、イギリス政府による「ブラムベル委員会報告書」発表のきっかけとなり、現代の動物福祉法制の基礎を築く上で極めて重要な役割を果たしました。彼女の功績は、動物福祉運動の発展に多大な影響を与えています。
目次
・訳者まえがき
・日本語版への序文
・序
・緒言
・謝辞
・第一章 序論 なにかが間違っている
・第二章 ブロイラー・チキン 合理化の極限︑近代養鶏
・第三章 ニワトリ処理場 <製品>となるための最後の恐怖
・第四章 ケージ養鶏ニワトリ<工場>の狂気
・第五章 ヴィール・カーフ 貧血地獄にあえぐ幼い命
・第六章 家畜工場のいろいろ 他の動物の場合
・第七章 “たべもの”の質とは <食品>ではなくてたべものを
・第八章 食品の“質”を問う 毒物の洪水のなかで
・第九章 動物の虐待と法的規制 動物にも苦痛はある
・第十章 結論 動物と人間の健康のために
・参考文献
・解説
・付録 ハリソン女史会見記
・訳者あとがき

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書誌情報
『アートの力であなたに笑顔を』(大谷こずえ著) 1,800円
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