今回ご紹介するのは週刊少年マガジン(講談社)で連載中の「デッドアカウント」です。

「学園×霊媒×バトルファンタジー」
喧嘩上等。破壊万歳。暴虐の限りを尽くした動画企画で荒稼ぎをしている炎上系配信者「煽りんご」こと、縁城蒼吏15歳(高校中退)。蒼吏は厄介者の権化のように認知されているが、実際は妹とスイーツが大好きな優しいお兄ちゃん。炎上動画も、病弱な妹の莫大な治療費を賄うための手段にすぎず、たとえ全人類に嫌われても妹が元気なら幸せだった。そんな最愛の妹に、異変が起きるまでは――。現代式祓霊アクション開幕!

マガポケより引用

週刊少年ジャンプで連載中の「呪術廻戦」の印象が強すぎるのは否めないが、そこだけに注目してパクリ評価だけで止まってしまうのは非常にもったいない。そうやって作品を貶めるだけ貶めて、早々に打ち切りに持ち込みたい輩が多いのは残念に思う。

https://myjitsu.jp/enta/archives/116987

しかし、呪術廻戦に似ているというその点だけでこの作品の価値が毀損されることは無いように思う。本稿では本作「デッドアカウント」が挑戦している試みを挙げてその点について深めていきたい。

本作が挑戦的なのは、現実のネット世界をそのまま物語に持ち込んでいる点だ。例えば、それは登場人物たちの特技に付けられた名称を紹介すれば伝わると思う。

  • 正義の袋叩き(ポリティカルリンチ)
  • 正義の鉄槌(ポリティカルハンマー)
  • 正義の杭打ち(ポリティカルパイル)

登場するキャラクターの特性も、HUNTER×HUNTERにおける念能力のようにいくつかのカテゴリに分けられており、主人公の縁城は鬼火(青い炎)を操る炎上系、霞流はハンマーを扱う叩く系、推しのバンドにネットストーカーしていた漆栖川は粘着液を放出する銃を扱う粘着系(これらは三大迷惑系の能力と言われているらしい)などが存在している。(これをHUNTER×HUNTERのパクリとか言い出したら、もはや新しい漫画が生まれてこないので、そこは言及しても仕方ないと思う)

命名の妙

この描き方が、若い読者(特に小中学生)にどういった影響を与えてしまうのかは正直分からない。現状の人気から言えば「鬼滅の刃」のような影響力はまず持たないだろうが、多くの子どもたちが「水の呼吸!」や「炎の呼吸!」みたいな感じで真似ていたように、「俺は炎上系!」「くらえ!ポリティカルハンマー!」とかやってる姿は正直見たくない。ただ「それは正義なのか?」というのは原作者が伝えたいことでもあるのかもしれない。作中で漆栖川がこう言っていた。

クズだって自覚してるだけ上等だわ。自分を正義なんて言い張ってるクズよりかはよっぽどね。

「デッドアカウント」7話より引用

個人的には、先のポリティカルハンマーを駆使して戦う霞流括(カスバタ ククル)が自身が掲げる正義に迷い始めてしまい敵側に寝返ってしまう、そして主人公の縁城と戦うシナリオとかを望んでしまう。

実際問題としては、ポリコレも問題だし、炎上で傷つく人もいるしで、漫画として純粋に楽しみきれないことにこの作品独特の難しさがあるように思う。三大迷惑系とされる能力も、良い目的で良い方向に使うのであれば世の中としても受け入れる余地があるというのも一つの解釈になるかもしれないし。そもそも想像力の向かうさきが、迷惑系配信者にも彼らを生んだストーリー(背景)があってという風に働くのであれば少しは救われることもあるだろう。

とにかく、ネット上の評判なんてのは忘れて読み続けてみようじゃありませんか!!

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