今回ご紹介するのは週刊ヤングマガジンで連載中の「神殺(カミソギ)」です。
神の侵攻によって滅亡に瀕する日ノ本に現れたのは、“神殺”と呼ばれる男だった。四肢のない少女を背負ったその男が持っていたのは、文字通り“神を殺せる力”――。絶対なる存在に立ち向かう叛逆のダークファンタジー、開幕。
ヤンマガWebより引用
個人的に大注目してる作品で、新連載開始時にはかなりの衝撃をもって読み始めたことを覚えています。朝からテンション上がったな。
ツイートでも言及したのですが、ベルセルク味が強いです。三浦建太郎先生が亡くなられたのが2021年。稀代の名作「ベルセルク」は未完のままご友人である森恒二先生に引き継がれることとなりました。森先生の「創世のタイガ」も新章連載からヤングアニマルに移籍ということもあり、ヤングアニマルから目が離せなくなった読者も多いと思います。
本作「神殺」は令和に生まれたベルセルクになり得るのか、その点が注目。
実際そうなるかどうかは、作品の価値以外のその他の要素が大きく絡んできてしまうため、単に面白いだけでは長期連載が叶わない昨今ですが、このストーリーは長期連載に耐え得るものではないかというのが、私の現在の見立てです。
哀しい宿命を背負った兄妹
「神殺」は哀しい兄妹の物語。舞台は神が戯れに人間を滅亡させようとするような世界。そんな世界に神をも殺せる能力を持って生まれた少女がいた。それが主人公の妹ヒルコ。ヒルコはその力ゆえに神々によって身体と魂が引き裂かれ彼女は四肢を失った。そんな理不尽な神々に復讐する兄と妹の物語。
物語の世界観、キャラクター、敵である神々の造形がおぞましいことなど、作品を褒めたい点というのが多々あります。そして、講談社がこの世に送り出したダークファンタジーといえば「進撃の巨人」。おそらく、それに匹敵できるだけの奥深さがあるように思えるのは私だけでは無いだろう。
作品をどう捉えるかは読者それぞれの勝手領域ですが、人が絶対に抗えない存在としての「神々」に対して、人間(かどうかは分からないけど)主人公の兄妹がどう立ち向かうのか。現実世界に無理やり当てはめてしまうと、”持たざる者”の”持てる者”に対する復讐といえる。
奪われたものを取り返そうとして何が悪い?と言わんばかりの姿は、かなり怖い(一方で重度のシスコンという設定がその緊張を和らげてくれてます)。復讐に端を発する物語といえば「進撃の巨人」。巨人たちに街を壊され母親を殺されたエレンはその後どうしたか、それは皆さんもご存知でしょう。
草彅剛主演で話題になった「罠の戦争(CX)」。このドラマも、子どもを転落させた犯人を探し出すために当初は無力であった政治家の私設秘書が権力に立ち向かい”やり返して”いく話だった。
この手の話は、ともすると”テロリズム”や”無敵の人”の文脈に巻き込まれてしまいがちなセンシティブなトピックではあるが、時代が時代であるのでそういう物語はどんどん生まれてくるだろうし、読む側・観る側としても本能的に求めてしまう類の物語なのかもしれない。
昨今、新連載から打ち切りまでのスピードがかなり早くなっています。作品を素晴らしいものにしていくのは原作者と編集者だけではないです。読む側の理解や支援があってこそ、作品の連載が継続され、評価され、後世に残るものになっていくのだと思う。
わたしはこの「神殺」を応援したい。
是非、皆さんも取り敢えず1話のご一読をお勧めします!まだ6話なので追いつけるタイミングですよ!